第60回記念全国大会のお知らせ

事務局

開催のご案内と報告者募集

実行委員長 田口尚志(早稲田大学)

 第60回記念全国大会は早稲田大学において2020年6月27日(土)・28日(日)に開催いたします。

統一論題は「日本貿易学会60年の歩みと新時代の貿易 ― 多様なリスクを乗り越えて ―」となります。統一論題での議論のほかに,自由論題報告者を募集いたします。 ご応募をお待ちしております。

報告者の募集(Call for Papers)について

 以下のテーマに関して,会員各位からの積極的な報告を希望いたします。一論題で報告25分,コメンテーター10分,質疑10分の45分を予定しております。

 貿易に関するテーマ(①貿易理論,②通商政策,③貿易商務,④貿易と金融,⑤国際物流,⑥国際経営・国際ビジネス,⑦国際セッション,⑧その他を予定しています。但し,上掲テーマは便宜上のものであり,ご希望のテーマでの報告に沿えない場合がありますのでご了承ください。

報告申し込みについて

 報告を希望する会員は,2020年1月31日までに,応募フォーマットにご記入のうえ,メール添付にて,日本貿易学会全国大会実行委員会宛にお申し込みください。応募フォーマットはこちらからダウンロードできます。

・応募締め切り 2020年1月31日 なお,諸般の事情により,報告自体ができないケースを含めましてご希望に沿えない場合がありますのでご了承ください。この点につき,あらかじめご承知置きの上でお申し込みくださいますようお願いいたします。

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統一テーマ趣意書       日本貿易学会60年の歩みと新時代の貿易         ― 多様なリスクを乗り越えて ―

 今を遡る約60年前の1960年12月17日,わが国各界より28名の諸氏が集い,「日本貿易学会」 設立に向けた準備会を発足させた。これが本学会の歴史的第一歩となるものであり,翌年9月の設立総会・第一回研究大会として結実するのであった。発起人を交えた往時の先人たちの想いは,設立準備会会長でありかつ本学会初代会長の上坂酉三博士(早稲田大学)による本学会誌・創刊号の発刊の辞に表明されている。
「貿易は (中略) マクロ的にみれば,国際経済の場で,異質的な国と国との間に行われる物資の有償交流であり,ミクロ的にみれば,個々の経営が,国の政策の枠内で,外国との間に行う物品売買の成約とその実践である。結局,後者の活動成果が集められて現態としての一国貿易を形つくり,それが総合されて国際貿易の全貌を現している。(中略) われわれは,貿易に関する理論政策の分野はもとより,経営・商事・法理の部門に対しても,個別研究と総合研究とを尽くして,貿易の本態をきわめようと志すもので,新しく結成された日本貿易学会は中心対象を貿易そのものにおくところに,その存立理由をもつものである」。
爾来,本学会は,貿易を対象に,理論面・政策面・実践面での学理を究明するわが国を代表する学術団体として社会に大きな貢献を果たし,今日に至っている。
 翻って貿易の実態面に目を転じれば,十干十二支を一回りする間に,わが国を含む世界の貿易は飛躍的に拡大し,バリュー・チェーン(Global Value Chain)は世界に広がり,さらには,インターネットをベースとする電子的手段を介した取引のいわゆるデジタル貿易と呼ばれる段階にまで進化を遂げており,国家間の相互依存関係を一層深化させている。ただ,その一方では,貿易制限的措置に見られる保護主義も台頭し,既存の貿易体制に対する批判も強まるなど国際的な貿易システムにおける新たな秩序やルールが求められる時代ともなっており,今日のいわば新時代の貿易に関わる環境は60年前とは大きく変貌している。
このようにその昔とは隔絶した観のある今日の貿易を取り巻く環境ではあるが,貿易そのものは国境を跨いだモノやサービスの取引であり,そのことは60年前と何ら変わりはない。それ故に,この新時代においても今なお留意しなければならないものの一つはリスク面への適切なる対応である。
 今から半世紀前では米ソの東西対立に起因した様々なリスクに対応しなければならなかった。時代が下った米ソ冷戦終結後には,地域対立・民族紛争が世界の至る所で発生するなど貿易を巡るリスクは一層複雑になっていった。21世紀に入った今日では,2001年9月の米国の同時多発テロをはじめ,エネルギー資源・核開発を巡る各国の駆引,原油・非鉄金属価格の乱高下,世界的な経常収支不均衡の拡大,各国内における所得格差の増大,世界的な金融の不安定化,そして,近時の米中対立に基づく問題等々,またこれらに異常気象,地震,大津波などの自然災害や,サイバーセキュリティ問題などのテクノロジー・リスクが加わり,リスクはさらに多岐に亘り複雑になってきている。
 このように時代とともにリスクはさらに一層複雑になり扱いにくくなる様相を見せており,今後もその傾向が続くことが予想されるが,特筆すべきは,これらのリスクに適切に対応するための礎となる知恵と叡智をわれわれは既に有していることである。
 本学会の60年にも及ぶ研究の蓄積がそれである。それは,多くの先達の実践・経験・試行錯誤を通して涵養され,培われて来たものである。長い年月の間に地道に積み上げられてきたそれらにはそれだけの価値や力が備わっている。更に厳しさを増すであろう今後の貿易環境において,これらの先人の知恵と叡智は,そこを生き抜くための貴重な糧となろう。
 以上を踏まえ,日本貿易学会第60回記念全国大会は,「多様なリスクを乗り越えて」を副題に,『日本貿易学会60年の歩みと新時代の貿易』をメインテーマ として掲げ,この60年もの間に培ったわれわれの知恵と叡智を確認しつつ,新しい時代の貿易に対してわが国企業が今後どのように取り組んでいくべきであるのかについて多角的視点から考察する。本学会設立60周年を記念する大会であり,大いなる議論を期待したい。

以上

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